小布施ワイナリーがレストランを経営しない訳

小布施ワイナリー敷地内にはレストランはありません。「なんでレストランを造らないのですか?」とお客様から聞かれます。
答えは簡単で「私達はワインとワイン葡萄をつくる職人だから」です。

料理をつくる職人は真摯に料理造りに取り組んでいます。料理人さんがワイナリーを造るはずがありません。料理をつくる職人は常に料理のことしか考えていないからです。

ワインとワイン葡萄をつくる職人(われわれのこと)も常にワインとワイン葡萄のことばかり考えています(農閑期はすこし気分転換しますが)。料理のことを考えている暇などあるはずがありません。

ワインを造る人間が、「レストランを経営しよう」と簡単に考えても、料理の世界はそんなに甘い物ではありません。同様、ワインの世界も簡単なものではありません。厳しい世界です。たとえミシュランで三つ星を獲得したオーナーシェフでも彼らはワイナリーを経営しません。私が修行してきたフランスのワイン蔵でレストランを経営している人はいませんでした。ロマネコンティ然り、シャトーマルゴー然りです。

自ら職人であることを誇りにおもうが故、他の職人を尊敬の眼差してみることができるのかもしれません。

私が修行していたフランスでは職人のことを「アルチザン」と呼ばれ、皆に尊敬されています。そしてワイン畑で働きワインを造る職人をヴィニョロンといい、自らを誇りに思って働いています。日本もあらゆる誇り有る職人が地位を見直されるべき時期に来ていると私は感じています。