Vin sans chimie de Domaine Sogga      Vigne sans chimie de Domaine Sogga

 2005から無化学農薬栽培を開始し2011年から無化学農薬栽培の一部の畑を有機JAS認証 取得しています。

 

 ★有機栽培と無化学農薬栽培の実際 

○使用した散布剤 

1)硫黄ー石灰 合剤 2)ボルドー液(硫酸銅ー石灰 合剤)

 (この二つの薬は100年以上も昔から使われていた単純な構造のもの。葡萄の体内に浸透性能が無いため、雨風が吹くと流されて効果がなくなる。硫黄、銅、石灰は地球上に存在する物質であることと、残留性が無いため安心な薬として、有機農法やビオディナミなどに使用することを許されています)

 

 ○使わない散布剤 

1)除草剤2)殺虫剤3)現代殺菌剤

 3種の散布剤(除草剤、殺虫剤、現代殺菌剤)とも有機化学合成農薬。主に浸透性能に優れ、葡萄の体に入り効果を表す農薬。残留性があります。そのため、有機栽培では使用を許されていません。

 

 

 

 ★私達の考える有機栽培の概念 

ハーバーボッシュから紐解く 

20世紀に入ってからハーバー&ボッシュが大気中に大量に存在する窒素をアンモニアにする技術が開発されると、農業は飛躍的に進歩 しました。19世紀以前は人糞や家畜の堆肥が日本農業の唯一の窒素源であったわけですが、その窒素が化学的に採れ、それが化学肥料 となりました。 現在では有機肥料というと家畜の堆肥を指しますが、その家畜は化学肥料によって造られたトウモロコシや麦などを食べて大きくなり 糞をします。すなわち、現在の有機肥料は形こそ化学肥料ではないのですが、本来、地球上に存在するべき糞ではなかったのです。 19世紀以前の地球上の窒素は豆科植物にすむ根粒菌と呼ばれる微生物が唯一、大気中に窒素を土の中に固定し、肥料とさせていました。 また、根粒菌が窒素固定すると同じく、地球上では「脱窒」と呼ばれる作用、すなわち土から自然に大気中に窒素がもどる作業がおこな われていて、大気中の窒素の地球の地表にある窒素のバランスは自然界で守られていました。 それが20世紀に完全に崩れ去ったのです。 極端な言い方をしますと「世界中の農地の大半は本来有るべきでない、窒素が沢山存在している」と言えます。私たちの畑を例にとり ましょう。日本の農業が飛躍的に窒素系化学肥料を使うようになったのは戦後です。戦後まもなくは、世界大戦の傷跡癒えず、世界的な 食糧不足が続いたので、この化学肥料は私達人間にとってその時期は必要不可欠なモノであったはずです。ただ、現在もこれだけの化学 肥料が地球上に必要かと問われれば、必要とは言い難いものがあるのではないでしょうか。すなわち、私達は50年以上、不必要であった かもしれない化学肥料を畑に撒きつづけたことにより、ワイン畑の土は本来有るべきでない大量の窒素が存在することになります。 人間のような理性が働かない植物は土中に栄養があれば摂取します。そうすることにより、葡萄の木はメタボリックになります。 メタボの葡萄の木は人間と同じように病気にもなりやすいですし、害虫にもおかされやすくなる訳です。そこで殺虫剤や殺菌剤を撒きます。 さらに、栄養が沢山あるのでたわわに実がなります。そうすることにより葡萄の色が不足するため着色促進剤を撒きます。農薬により病気 や虫もこなくなりさらに葡萄に色が着色するようになるとなると、また人間は多収穫をめざして、再度、本来地球上にあるはずのない肥料 (有機肥料も含む)を撒いてしまい、また農薬を撒くという連鎖をおこしているのかもしれません。 残念ながら、窒素過多になってしまった土壌を元にもどすことは容易ではありません。私達は無力です。土を元にもどすことができる 唯一の手段、それはそこに生える草木たちが時間をかけてゆっくり土の窒素(毒素?)を抜き取り浄化してくれるのです。私達が普段 邪魔者扱いする雑草たちがその役目をはたしてくれています。、瘴気(有毒ガス)が充満する「腐海」と呼ばれる菌類の森は実は、腐海 の土を浄化していた、、、映画のようですね。 ですので、私たちは、これからも有機肥料と化学肥料は撒かないつもりです。ただしすこしずつ本来の土に戻ったとき、そこで本来ある べき有機肥料(海外の穀物を食べる家畜でなく草原に生えている草だけを食べてそだった家畜の肥料がベストです)を撒こうと思ってい ます。 わたしたちもそんな滋味豊かなワインを造りたいとおもっています。

 

 

 ビオディナミ(バイオダイナミック)と有機栽培

無化学農薬栽培 世界の自然派ワイン(vin naturel)には様々なモノがあります。ビオロジックは有機栽培、そしてビオディナミはルドルフシュタイナーの提唱した農法(生力学農法)。私たちが有機栽培を選んだ理由はまだ日本でのビオディナミ農法が確立されてなく、情報がヨーロッパから伝わるのみで、「月の動きや調合剤」のことで私は頭がいっぱいになり「葡萄と対話する」本質が見えなくなってしまうと感じたからです。しかしながら、ルドルフシュタイナーの述べていることは決して間違っているとは考えていません。かつて、古き良き日本で行われていた農法の一つであると考えます。シュタイナー教育が日本でも昔の親が普通に教育していたことと同じであるように。また「観察する」という理念はシュタイナー教育も同様ビオディナミや有機農法でも大変重要な言葉です。 私の考えるシュタイナー像があります。シュタイナーは私達農家のために、考えた農法がビオディナミなのでは。シュタイナーは農家の深い心理を読んだ農法と私は考えます。私達農家は真面目に葡萄の木達と向き合うとき、できるだけなにかを施してあげたいと考えます(生まれた子供にいろんなものを買ってあげたいと思う心境と同じです)。その気持ちが農薬散布や肥料散布につながっていきます。現在の私達の住む田舎は「肥料を撒かない農家はやる気のない農家」と思われます。同様、「農薬を撒かない農家はやる気の無い農家」とおもわれるのです。すなわち、葡萄が愛おしいからこそ、農薬を撒くという心境なのだとおもいます。私も現代的な農業者の気持ちはわからないわけではないです。葡萄たちをほったらかしていれば、私達は心配になります。なのでなにかお守り替わりとして、保険としてなにか散布したいのです。現代農業の農薬散布は 防除 という概念で撒かれます。すなわち予防という意味で散布します。病気が出る前、または虫がでる前に撒くわけです。この農家の心理を汲んで、シュタイナーはビオディナミ農法を考えたのではと私は考えます。農家は畑に散布したり撒きたいという気持ちをシュタイナーは理解していたのです。なので敢えて、501番などの調合材を撒くことを勧めているのではないでしょうか。私達農家は何かを撒くことで「救われ」ます。たとえ、それが実際効能がなくとも(効果はあると思いますが、無かったとしても)シュタイナーさんがこれを撒けば大丈夫といわれれば撒いて安心します「プラセボ効果」。肥料も沢山撒きたくなるのですが、敢えて牛の角に牛糞をいれると効果があることを農家に諭すと私達はそこに救いをもとめて角に牛糞を詰め込んで翌年撒きます。角に入る牛糞の量は限られています。私達人間は葡萄たちのためと思って肥料を沢山いれたくなる心理をシュタイナーは理解していたのです。沢山撒けは葡萄がメタボになってしまうかもしれないので、ほどほど撒くように教えてくれているのだと私は考えます。信じるものは救われる。私達の不安をシュタイナーは農薬ではなく、調合材でいやしてくれているのではないかと感じています。そんなことを考えれば改めてシュタイナーの偉大さを感じます。調合剤に頼らず、何かを施さないと不安でならないという気持ちを絶ち、自らの意志を強く持ち葡萄の木の観察を冷静にできるようなビオディナミ農法になるとそれは有機農法といえるのではないかとおもいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考1)

無化学農薬栽培は「有機栽培」と同じですが私達はJAS有機栽培認証を取得した畑のみ「有機栽培」と呼び、それ以外の有機栽培畑を無化学農薬栽培畑と区別して呼んでいます。

 

参考2) 

 2011年7月 

2011年7月、3枚の畑をJAS有機認証(Codex委員会に準拠した世界標準の有機認証)を取得できました。有機転換してから6年目での取得です。カベルネメルロなどの欧州系ワインブドウでは日本初の出来事でしたので時間がかかってしまいました。2008年と2009年2010年転換中の畑は順次認証を目指します。2007年、フランスでのワインブドウ有機栽培家マークアンジェリとギーボサールが小布施に来たとき、私に言いました。「日本で初めてワインぶどうの有機栽培(culture biologique or organic)やビオディナミにチャレンジするなら、必ず認証を取りなさい。これからの日本のためにも。将来必ずエセ有機栽培家が必ずでてくる。それを防ぐためにも第3者機関の認証が必要だ。フランスやヨーロッパでも認証を取得しないで「我々は有機栽培している」とか「我々はビオディナミをしている」と言っている人たちがいるが、実際、有機栽培やビオディナミをしていない人たちが沢山いる」と。私達は「有機認証にはお金がかかる」と食い下がりました。その答えにたいして「これからの日本のために取りなさい」と。私達はマークアンジェリとギーボサールの言葉の重さを感じ、お金と手間がかかりましたが、有機認証という大きな壁に挑みました。そしてようやく、取得できたわけです。

 

参考3)

2006年10月 

 有機栽培や無化学農薬栽培でムラサキ農場(第一から第七)のメルロ、カベルネソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノノワール、シラーなどを作りました。「日本で欧州葡萄の有機栽培は無理だ!」と、葡萄生産農家、ソムリエの方々に言われ続けてきた今まで。実際、日本での有機栽培を諦めていた自分。「無理」と言われたのには理由があります。日本は高温多湿。そして梅雨と秋雨と雨期がある。乾燥した大地である欧州生まれのワイン専用葡萄が日本では無理があると思われてきたからです。しかし、2005年の雹害により「なにかが吹っ切れ」て、今まで見えなかった何かが見えてきたのでした。この、有機栽培は闇雲に始めたのではありません。10年の歳月もの間、減農薬栽培、無施肥を試みてきた結果であるといえます。特にムラサキ農場の葡萄は減農薬であっても自然の力に逆らうことなく葡萄を実らせることに気づきました。そこでこのワイン畑に白羽の矢がたったのです。完全有機栽培は、そこまでに達するまで長い歳月を経てようやくたどり着いたと言えます。